プログラム責任者から一言

医学生の皆さんの臨床研修病院のイメージというと、各大学病院や有名な大病院というところではないでしょうか。しかし、臨床研修病院のすべてがそういう大病院ばかりではありません。実はよく探すと当院のような中小の臨床研修病院は日本中にたくさんあります。そして、毎年そこから多くの医師が初期臨床研修を終えて巣立っています。

そういう小さい病院での研修のメリットは何でしょうか。それは、小さい所帯の中での指導医との顔の見える関係に基づくきめ細かい研修だと思います。大病院の研修では何百人、何十人の指導医と多数の研修医がいると思います。その中で、1か月や2か月のローテーションを繰り返していると、人やシステムに慣れるのが精一杯で、結局2年間で信頼し何でも相談できる指導医に一人も出会えないまま終わる研修医もいっぱいいるのではないでしょうか。当院では、指導医も研修医も同じ医師として、スタッフの一員として、診療科の垣根を超え日々診療にあたる中、研修医一人一人にあった研修を提供できるように努力しております。

もちろん当院に足りないものもたくさんあります。いわゆる高度先進医療はありません。ドクターヘリもありません。救急車が年に何千台も来るわけでもありません。しかし、初期臨床研修医すべてがそういう大病院で研修するべきかというとそんなことはありません。小さい病院での研修の方が合っている研修医は必ずいるでしょう。大きな病院で研修することに自分はやっていけるのか不安を持つ学生も多いでしょう。そういう学生さんにぜひ見学に来ていただきたいと考えています。

当院は、福島県浜通り北部の相馬市に位置する地域唯一の総合病院です。地方の多くの公的病院がそうであるように、絶対的に足りないマンパワーや厳しい経営環境など問題が山積しています。しかし、私たちはそんな厳しい状況の中、職員が一丸となり、地域医療の根幹として急性期医療はもちろん、慢性期医療、健診、在宅医療など幅広い領域でこの地の医療を支えています。私たちが初期臨床研修医に求めるのは、医師としての基本的な技能の習得は当然として、地域の医療を支え守っていこうとする医療従事者としての矜持を身につけてもらうことです。

当院に興味のある方は一度見学に来てください。そして、この地域の医療を担っている私たちや、そこで学んでいる研修医の姿をぜひ見ていただきたいと思います。見学お待ちしています。

臨床研修プログラム責任者 副院長 伊藤 正樹